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完全雇用とは?
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もしそういった経済政策が維持可能なものであったならば、失業率は次第に「自然」失業率まで低下するだろう、というのがフリードマンの説である。
フリードマンの考えはマクロ経済学に大きな影響をもたらし、現在では完全雇用とは、ある所与の経済構造の下で維持可能な最低レベルの失業率を指すことが多くなった。
これはこの用語を最初に用いたジェームズ・トービンにならってインフレ非加速的失業率(⇒『NAIRU』=Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment)と呼ばれる。
概念としては自然失業率と同一であるが、経済には自然なものは何一つない、という立場から「自然」の言葉を避けているともいえる。
完全雇用状態にあっては、循環的(あるいは労働需要不足による)失業は存在しない。
もし経済が数年にわたってこの「自然」失業率あるいは「インフレ閾値」失業率以下で推移するならば、インフレは加速するはずである(賃金および物価に関する外的統制がない前提で)。
逆に、もし失業率がこのレベル以上で長期間推移するならば、インフレは沈静化するはずである。
こうして、インフレ率が上昇も下落もしないような失業率としてNAIRUは導出されるのである。
そこで一経済のNAIRUの絶対的な水準は、労働市場における供給側の要因に依存しているといえる。
構造的失業、摩擦的失業といった要因がそれである。
フリードマンとフェルプスよりはるか以前、1951年にアバ・ラーナーはある種のNAIRUの概念を提唱していた。
現在のNAIRUの考えと異なっている点は、彼は完全雇用失業率としてある一定の範囲を考察していた点である。
彼は高い完全雇用失業率すなわち「所得政策が存在する下で維持可能な最小レベルの完全雇用失業率」と低い完全雇用失業率すなわち「そのような政策が存在しない下での失業率」を区別していた。
これらの研究は、完全雇用の実現可能性とその社会的価値に対して疑問を投げかけている。
すなわち、完全雇用は正のインフレーションを意味し、完全雇用を実現するため失業率の数字だけに着目するのは意味がなく、政府(あるいは経済政策担当者)がより高いインフレーションを甘受してまで低い失業率を実現しようとするのかどうか、というトレード・オフの関係において理解されなければならないとする。
労働経済学者によってしばしば用いられるものがある。
それは、完全雇用状態における失業率を「理想的失業率」(ideal unemployment rate)と考え、そこでは労働市場における非効率性(例えば構造的失業)は存在せず、ただ労働者が一つの職から次の職を探す間の摩擦的失業だけがある状態だ、とするものである。
例えばウィリアム・ベヴァリッジは完全雇用を「求職者が求人数に等しい状態」と定義していた。
彼は経済が最大の生産を達成するためには、完全雇用以上の雇用が維持されることが望ましい、と考えていた。
1990年代末のアメリカでは、多くの学者がNAIRUと考えていたレベル以下の失業率であったにもかかわらずインフレ率は安定していた。
日本においては高度経済成長~バブル景気前後が、ほぼ完全雇用だったとされている。
近年の欧州諸国は、物価上昇率が著しく低いなかで、高い失業に甘んじている。
失業はこれらの国で重大な社会問題であり、物価上昇が加速していないから完全雇用、と言える状況ではない。
第二次世界大戦前、ヒットラーにより完全雇用が成功する寸前だったとされる。
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